中国株の共産党の締め付け

最近中国株が大幅に下落する出来事がありました。

まず最初に異変を感じたのが、以前アリババグループのアントフィナンシャルグループが株式上場するとのニュースがありました。アントの時価総額は2020年10月時点で20兆円と三菱UFJの倍の規模です。

IPOの際は購入を検討しており、上場日を楽しみにしていました。

しかし、中国政府から上場について待ったがかかり、延期になりました。

アントはアリババ経済圏での決済プラットフォームとしてのアリペイを提供しており、グループ内では中核的な存在です。

上場延期の引き金となったのは、アリババのジャックマーの中国政府批判とも取れる発言があったためです。

中国株投資の怖さを感じた事件でした。

 

そして再び中国株リスクを痛感したニュースが飛び込んで来ました。

中国の小中学生向けの放課後個別指導プログラムを提供するTALエデュケーショングループは2020年12月頃は90ドル付近まで上昇した株価が2021年9月13日現在で5ドル付近です。

下落率は94%となっています。

 

TALの下落は中国共産党による教育規制のニュースが出たためです。

義務教育を受ける小中学校生の塾を対象に既存の学習塾は非営利化し、インターネット経由でのリモート塾は届出制から許可制になります。また、学習塾の株式上場による資金調達を禁止するとの事です。

中国政府としては高騰する教育費を抑制したいという背景があります。

 

しかし、この教育規制を皮切りに中国共産党は民間セクターへの介入を強めていきます。

中国株は時価総額が1兆ドル吹き飛んだというニュースもあり、アメリカ市場の中国株ADRも軒並み下落しました。

 

アリババグループ(BABA)は最高値319ドルでしたが、2021年9月13日現在では168ドル

JDは最高値108ドルから80ドル

バイドゥ(BIDU)は最高値354ドルから164ドルとかなり下落しています。

 

中国政府が様々な規制強化を図り、イノベーションを阻害する中で、共産党政策目的に据えられている「共同富裕」という思考があることをニュースで知りました。

共同富裕とは、貧富の格差を縮小して社会全体が豊かになるという共産党のスローガンです。

毛沢東が提唱した理念になります。

 

今回は企業からの寄付を義務付ける内容も含まれていました。

アメリカでは寄付行為はよく聞く事柄なので、あまり違いが無いように感じますが、中国では政府からの指示であり、そこに自主性がありません。

寄付に関連して中国共産党の意思に反発するような発言・行動等があれば企業の運営上重大なリスクが発生する危険があります。

 

共同富裕というスローガンは素晴らしいとは思います。格差の拡大は国家の運営上解決すべき問題です。しかし、中国政府は民間セクターへの介入を強め、国有企業化を図り、共産党の意見を全て受け止める企業群を作り出そうとしているのではないでしょうか。

政治は共産主義で市場は資本主義という二面性の限界が現れていると思います。

 

中国株を取り巻く環境は悪化しており、投資先としては魅力はあるものの、それを上回るリスクがあります。

今後、政策等が大きく転換し民間セクターの自由度が高まった際には投資先として検討してみるのも面白いと思います。